本に学ぶマンション投資

相続対策は東京中古ワンルームと家族信託で考えよう

相続対策は東京中古ワンルームと家族信託で考えよう

株式会社日本財託 横手彰太 (著)

2016年11月21日発行

不動産投資は相続税の節税対策に向いていると言われます。本書は相続対策を考える前に、東京の中古ワンルームマンション投資で老後の継続収入を確保しながらも、新しい相続対策「家族信託」で相続に備えることを推奨しています。耳慣れない「家族信託」とは何か、そして東京中古ワンルームマンション投資がなぜ有利に働くのかを紐解きます。

相続税の節税対策に不動産投資が有効

不動産投資は、昔から相続対策に有効とされてきました。
現金はすべて相続税評価額とされ、最高税率は55%にもなりますが、不動産は路線価や固定資産税評価額によって評価され、賃貸に出している場合はさらに評価額が下がります。現金を収益不動産に代えると、相続税評価額を時価の1/2~1/3程度まで圧縮でき、大きな相続税対策になります。

<不動産の相続税評価額の計算式>
土地=路線価(時価の80%) x (1-借地権割合30%~90% x 借家権割合30%) x 賃貸割合
建物=固定資産税評価額(時価の60%~70%) x (1-借家権割合30%) x 賃貸割合

たとえば、中央区にある平成16年築のワンルームマンションを2,120万円で購入したとします。
家賃収入は月9万3,000円、管理費・修繕積立金・管理代行費のコストを差し引くと、手取り家賃収入は月額7万7,410円の物件です。

【不動産の評価額】
土地(路線価 x 敷地面積 x 持分割合)= 4,448,931円...(1)
建物(固定資産税評価額)= 2,531,700円...(2)

【賃貸不動産の相続税評価額】
土地:(1) x (1-80%x30%) x 100% = 3,381,188円...(3)
建物:(2) x (1-30%) x 100% = 1,772,190円...(4)
合計:(3) + (4) = 5,153,378円

【購入価格に対する圧縮効果】
5,153,378 ÷ 21,200,000 = 24.3%

建物部分は固定資産税評価額に基づき評価されますが、上記の例では(4)の177万円です。土地は路線価に基づいて評価され、評価額は(3)の約338万円となります。合わせて約515万円が相続税評価額となります。現金であれば2,120万円が課税対象でしたが、投資マンションを購入することで大幅に評価額を下げることになり節税となります。

東京の中古ワンルームマンション投資は相続対策にも向いている

本書では、賃貸需要が低い地方の土地は売却し、その資金を賃貸需要がある東京23区の中古ワンルームマンションに組み替えることを推奨しています。ファミリータイプと比べてリフォーム費用が安くて新築よりも利回りが良く、また高級タワーマンションに比べて家賃も手頃であり、安定した賃貸需要が見込めることなどから、収入対策に適しているからです。

そして東京中古ワンルームマンションは相続においても2つのメリットがあります。

一つは「分割対策」になるということです。
例えば一棟アパートを家族で相続する場合、最も避けたいのは、不動産を家族で共有名義にしてしまうことです。両親が所有していたアパートを兄弟姉妹で共有名義にすると、売却するときに全員の同意が必要となります。兄弟全員が存命のうちはまだよいですが、兄弟の誰かが亡くなって甥や姪が名義を引き継いだら、時間を経るごとに共同名義人が増えていき、同意を得ることが難しくなってしまいます。1億円のアパート一棟に投資するより、2,000万円の中古ワンルームマンションを5戸購入して子供たちに分けることができればこういったトラブルを避けることができます。

もう一つは「納税対策」になることです。
相続税の申告・納税は、相続発生から10か月以内に行う必要があります。手元に納税資金がない場合、東京中古ワンルームマンションなら、物件を探している投資家が多数いる上、少額でローンも付きやすいため、現金化しやすいというメリットがあります。これが地方の一棟アパートだと購入できる人は限られ、急いで現金化することは難しいでしょう。

従来の相続対策は、認知症対策が不十分

本書では、従来の民法の仕組みでは「認知症対策」が不十分だと指摘しています。

認知症になる割合は80代で5人のうち1人、85歳以上では2人のうち1人です。50歳以上の方にとって、両親の認知症は他人事ではありません。
親が認知症になった場合、本人名義の口座は凍結されます。投資用不動産の購入、売却はおろか、家賃振込までも一旦停止となります。これは、亡くなった時点で個人財産が相続人の共有財産となり、他の相続人の権利が侵害されるのを防ぐためです。対策なしでは、親の口座から介護費用を引き出すことも簡単にできなくなります。

成年後見制度の問題点

認知症対策として成年後見制度があります。

成年後見制度は、任意後見制度と法定後見制度に分かれます。前者は親が元気なときに後見人を選任するもので、後者は親が後見人選定の意思能力を喪失したとき、家庭裁判所が4親等以内の家族に申し立てを受けて選任します。後見の申し立てをすると見ず知らずの職業後見人が付き、自分の家の金銭を管理されることになります。(なお法定後見制度を利用すると、3か月に一度収支計算書を後見監督人に報告し、後見監督人に支払う毎月の費用が1~2万程度かかります。)
この制度の目的は、被後見人の財産を目減りさせないよう維持管理することであり、認知症発症後に相続対策を行いたい場合には向きません。
相続が発生するまでは後見人の行動は家庭裁判所の管理下に置かれて相続まで迎えるので、基礎控除の範囲内である年間110万円以内の生前贈与を行っていたとして、親が認知症になってから後見人の立場で贈与を継続することはできませんし、相続対策のために投資用不動産を購入することもできません。老人ホーム費用を捻出するために自宅不動産を売却することも、家庭裁判所の許可が無ければできません。許可を得ず処分しても、契約は無効になります。

遺言の問題点

相続につきものの「遺言」も問題があります。
相続専門の弁護士や司法書士が積極的に遺言を薦めていますが、公正証書遺言の利用率は10%にとどまります。これは「親に言いづらい」ことが理由だと考えられます。元気で第二の人生を謳歌する親に、遺言の相談をしても、財産狙いと警戒されるでしょう。それ以外の遺言の問題点は、何度も書き換えが可能だということです。まともな判断ができる時点で遺言を書いたとしても、判断能力が低下したときに書き換えを誘導されることもありえます。
もう一つ大きな問題は、遺言の承継は一代限りという点です。長男に不動産を譲った次は、長男の奥さんではなく、孫に不動産を相続させたい、と遺言に書いても無効です。長男が遺言を書いてくれたら別ですが、強制はできません。

新しい相続対策、家族信託とは

家族信託は、これまでの民法の枠組みで対応しきれなかった相続問題を解決してくれる財産管理の一手法です。生前は認知症対策に、相続発生後は財産承継対策になります。一次相続だけでなく、二次、三次相続にも有効です(ただし期間は30年)。信託契約ですべて賄うことができ、手間暇もかかりません。以下より具体的に説明します。

家族信託は、財産所有者が特定の目的を達成するために、財産を信頼できる家族に託し、管理運営を任せる仕組みです。たとえば認知症に備えて財産の管理運営を子供たちに託す、というケースが家族信託の典型的な活用事例です。

家族信託で管理する財産は全財産である必要はありません。自宅や不動産のみでも、1億円のうち2,000万円だけでも、信託することができます。生前に売却や管理をする必要なく、相続発生後に相続人の間で揉める要素がない場合、信託財産にする必要はありません。一方、生前に売却しておきたい、財産の組み替えをしておきたい、特定の人物に財産を贈与したいなどの事情がある場合は信託財産に入れる対象として検討する必要があります。

家族信託には、財産の管理運営を委託する委託者、委託を受けて財産を管理する受託者、財産から得られる利益を受け取る受益者という3つの役割を持つ登場人物がいます。

両親の収益不動産を認知症対策として信託する場合、両親は委託者兼受益者、子供は受託者になるのが一般的です。収益不動産の形式的な所有権は受託者である子供に移ります。税の課税対象は、財産から得られる利益を受け取る受益者です。受託者は収益を受け取る権利はないので課税はされず、実質的な財産の移転もないため、不動産取得税も課税されません。固定資産税は受託者に納税通知書が送られますが、信託財産の中から税金を支払うため、実質的な負担者は受益者です。
なお委託者と受益者が同じ場合贈与税はかかりませんが、収益を子供が受け取る場合、子供に贈与税が課税されます。(親の死後、受益者を子供に移行させることもできます)

収入対策と家族信託の事例

家族信託は自由度が高い設計ができるため、様々なパターンが考えられますが、家族信託と東京ワンルームマンションを組み合わせた相続対策の事例を紹介します。

木村さん(仮名・51歳)は、自信の老後のために東京のワンルームマンションを3戸購入して運用していました。木村さんの父親は普通のサラリーマンでしたが、12年前に他界。地方に住む母親は専業主婦で、木村さんは自分の家は相続には無縁だと思っていました。しかし、母親が現金や国債など約1億5,000万円の財産を持っていることが分かりました。もともとは父親の財産でしたが銀行に預けていたようです。母親は年金で十分暮らしていけるようで、このままでは相続税がかなりかかりそうです。

何も対策をしなければ、およそ3,000万円もの相続税がかかります。また、母親が認知症にかかると資産が凍結され、相続税対策も不可能となります。母親は高齢なので煩雑かつ長時間もの手続きは難しいという状況です。
時間に余裕があれば、年間110万円もの控除枠がある贈与も可能ですが、1億5000万円もの資産を短期間で贈与するのは難しいのが現状です。母親の所有資産はほぼ金融資産で相続税評価額は100%かかってしまいます。現金を収益不動産に替えれば相続税対策になりますが、遠方にいる母親が不動産購入にかかる契約手続きを行うことは負担になり、本人も希望していません。

このような理由で物件選びや契約が難しい場合、家族信託を活用することができます。母親が所有する現金資産を信託財産として、長男に運用管理を任せるという手法です。
長男は信託財産を活用して収益不動産を購入、名義は受託者である長男。家賃収入は信託口口座に振り込まれ、受益者である母親が受け取ることで、老後の支えになります。

家族信託の進め方

財産管理を理想の形で進めるには、家族全員でよく話し合い、「家族信託をつかった相続対策が必要か」を確認する必要があります。ご家族に持病をお持ちの70代以上の方がいたり、配偶者や相続人がすでに認知症になる可能性があったり、財産をお持ちの親御さんが子供たちに財産を残したい意向があったり、何もしなければ共有となる不動産がある場合などは家族信託が向いています。

次にざっと財産の棚卸を行い、理想の相続を考えます。親は誰にどの財産を相続させたいのか?相続税は?納税資金どこから捻出する?親の認知症リスクは?自宅は誰が引き継ぐ?保有不動産は優良資産か不良資産か?いくらで売却できる?売却には時間がかかる?など洗い出しを行って信託の目的や内容を整理します。

家族信託は、家族の同意を得ることが重要かつ時間がかかるので、家族信託コーディネーターなど専門家に相談し、家族で合意を取り付けるのが良いとされています。
その上で司法書士や行政書士、税理士と面談します。相続税の試算が終わっている方は問題ありませんが、まだの場合は税理士に相談して相続税の試算を行います。これが分からないと、家族信託を活用すべきか、財産を組み替える方がよいかが判断できません。

例えば本書にある著者の信託契約の例です。

<信託契約の内容>

  • 目的:認知症になったときに自宅を処分して、介護費用を捻出し父親をサポートする
  • 委託者:父親
  • 受託者:長男/第2受託者:姉 ※1
  • 受益者:父親⇒母親 ※2
  • 信託財産:自宅(土地と建物)、現金300万円

※1受託者が亡くなるなど、受益者として責務を果たせなくなってから1年以内に次の受託者が決まれなければ信託は終了してしまうため、2次受託者を設定している。
※2父親が亡くなったら母親を受益者とする。信託契約を継続させることで、母親の認知症対策も行っている。

家族信託の契約書は家族信託専門の士業の分野なのでお任せしましょう。信託契約書は作成に2~4週間かかります。安全を期すなら公正証書で契約を行いましょう。
家族信託は、契約締結の時点から効力が発揮されます。現金を信託財産とした場合、一般的には信託契約書の原本を金融機関に持ち込んで信託口口座を作成し、委託者の個人口座から直接振り込みます。

家族信託にかかる主な費用は、契約書作成費用と、信託財産の登記費用の二つです。専門家に支払う報酬は信託財産の固定資産税評価額に基づいて決定されるのが一般的です。多くの財産を信託財産とすることになると費用は高額になります。遺言より高額ですが、遺言は一代限りなので、将来の認知症リスクを回避しながら思いを実現するためのコストとして妥当かを考えて決断しましょう。

家族信託を始めるのに良いタイミングは、ご両親が65~75歳まででしょう。80歳にもなると脳が委縮し、判断能力が喪失し気力も落ちてしまいます。早めに検討するに越したことはありません。

まとめ

マンション投資が相続税対策に有効なのは確かですが、相続後すぐに現金化するためだけに行うのは注意が必要です。たとえ路線価ベースの評価額で申告をしても、近い将来に発生することが想定される相続であることが明瞭の場合は、路線価ではなく実勢価格で評価するよう指摘される場合があります。あくまで、被相続人が資産運用の手段として不動産を取得していた合理的な説明をする必要がありますので、不安であれば税理士と相談してください。

また、相続したマンションは、賃貸で運用し続けることも、場合によっては売却することもあると思います。不動産投資一般に言えることですが、売却まで考えた場合、物件選びで最も重視すべきなのは資産価値です。ワンルームマンションは投資以外の目的で購入される方は稀で、価格の算出法は表面利回りから経費を引いた収益から還元されるため、多くの場合、経年劣化による家賃の下落率に合わせて値下がりします。本書では推奨されておりませんでしたが、ファミリータイプマンションは、ほとんど居住用で購入されるので、住宅ローンの限度額と毎月の家賃とローンの返済額の比較で検討されるため、値下がり幅は緩く資産価値は維持されやすい傾向にあります。また、ファミリータイプのなかでも、タワーマンションは同じ間取り、専有面積であっても、実勢価格は高層階のほうが低層階よりも高くなります。階層が違っても同じ面積であれば路線価による土地の評価額は同じですので、高層階のタワーマンションは、結果として、売却時に相続税の節税となるケースもあります。



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